「相続した不動産を売却したいけど、どんな税金がかかるんだろう?」
「売却時にかかる税金は、いつ支払えばいいんだろう?」
「お得に取引をしたいけど、節税の方法はあるの?」
この記事では、
- 宅地建物取引士試験に合格
- 不動産会社に勤務
の筆者が、不動産売却時にかかる税金と支払時期、そして節税方法について分かりやすく解説します。記事を読んで不動産に関わる税金の知識をインプットしてくださいね。
目次
不動産売却時にかかる税金
不動産を売る際には、利益が生じた場合は5種類の税金がかかります。利益が生じない場合でも2種類の税金がかかります。
売却益が生じたときにかかる税金
土地や建物を売却したときの売却益を、譲渡所得といいます。譲渡所得は、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得となります。
ここでいう所有期間とは実際に土地を売却したタイミングで計算されるのではなく、譲渡した年の1月1日時点までで計算される点に注意が必要です。例えば、2018年10月1日に不動産を取得し、2023年のどこかで売却した場合、所有期間は一律で4年3ヶ月です。
譲渡所得には、所得税・住民税・復興特別所得税がかかります。これら3種類の税金のことをまとめて譲渡所得税といいます。所得税・住民税・復興特別所得税の税率は以下の通りです。長期譲渡所得の場合の方が税率が低い傾向にあります。
税金の種類 | 短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) |
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 9% | 5% |
復興特別所得税 | 0.63% | 0.315% |
売却益が生じなくてもかかる税金
売却益が生じなくてもかかる税金には、印紙税と登録免許税の2種類があります。
印紙税
印紙税は、不動産売買の契約書にかかる税金です。必要な税額分の収入印紙を契約書に貼り付け、消印することで納税します。印紙税額は、契約金額によって200円~60万円の間で幅広く設定されています。
契約書に収入印紙の貼付と消印がなくても契約自体は有効ですが、通常支払うべきだった税額にその2倍の金額を加算した合計額(つまり3倍の税額に相当)を過怠税として納税しなければならなくなるので気を付けましょう。
登録免許税
登録免許税は、不動産に関する権利を法務局に登記するときにかかる税金です。税額は、固定資産課税台帳に登録されている固定資産税評価額に、税率をかけることで算出されます。税率は、不動産売買の場合は基本的に2%です。
税金を支払う時期
不動産売却時にかかる税金を支払う時期は、それぞれ以下の通りです。
税金の種類 | 支払時期 |
所得税 | 原則として売却した翌年の 2月16日~3月15日 |
住民税 | 売却した翌年度の6月以降 |
復興特別所得税 | 原則として売却した翌年の 2月16日~3月15日 |
印紙税 | 売買契約時 |
登録免許税 | 売買契約時 |
不動産売却時の節税方法3つ
譲渡所得については、主な3つの特例があります。上手に利用して節税しましょう。
1.居住用財産の3,000万円の特別控除の特例
不動産を売却して得た利益から、最高で3000万円を控除できます。つまり、3000万円までは課税対象になりません。不動産の所有期間は問いませんが、一般に居住用財産と呼ばれる自分が住むための物件である必要があります。
2.所有期間10年超の居住用財産に対する軽減税率の特例
居住用財産の3,000万円の特別控除の特例と併用が可能な制度です。
居住用財産(自分が住むための物件)を10年以上所有していた場合、3,000万円を控除した金額のうち、6,000万円以下の部分について軽減税率が適用されます。
具体的には以下のようになります。
6,000万円以下の部分 (軽減税率適用部分) | 6,000万円超の部分 (軽減税率適用なし) | |
所得税 | 10% | 15% |
住民税 | 4% | 5% |
3.特定の居住用財産の買い換えの特例
売却した年の1月1日時点での所有期間が10年超で、所有期間が10年以上といった条件に当てはまる居住用財産(自分が住むための物件)を、代わりの物件に買い換えた場合に利用可能な制度です。
住んでいた居住用財産の価格が買い換えた居住用財産の価格以下の場合は、売却はなかったものとして将来売却した時まで課税を先延ばしできます。
逆に住んでいた居住用財産の価格が買い換えた居住用財産の金額を超えている場合は、住んでいた居住用財産の売却価格から買い変えた居住用財産の購入費を引いた金額を利益とし、そこから必要経費を引いた金額に対し課税します。
まとめ
不動産を売却するときにかかる税金の種類や税率、支払時期については以下の通りです。
税金の種類 | 税率 | 支払時期 |
所得税 | ・短期は10% ・長期は15% | 原則として売却した翌年の 2月16日~3月15日 |
住民税 | ・短期は9% ・長期は5% | 売却した翌年度の6月以降 |
復興特別所得税 | ・短期は0.63% ・長期は0.315% | 原則として売却した翌年の 2月16日~3月15日 |
印紙税 | 200円~60万円 | 売買契約時 |
登録免許税 | 2% | 売買契約時 |
これでみなさんも、不動産を売却するときにかかる税金について理解できたと思います。必要なときにこの記事の内容を思い出したり、読み返したりしてみてくださいね。